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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「世間が物騒になりますると、趣味までが物騒になりまする」

「蹴球だの双六だのというようなものは、どうやらお前には向かないそうな」

「ありゃア公卿方の遊戯でございますよ。私どもには向きませんなあ」

「そう公卿方をコキ下ろしてはいけない。どうして当今のお公卿様方は、勇猛果敢でいらっしゃるよ」

「そういうお方もいらっしゃいますとも。たとえば日野資朝様、たとえば藤原俊基様など。……が、少数でございますよ。……爾余のお公卿様と来たひには、アッハッハッハッ、他愛ありません。……ヨイショヨイショ! ヨイショヨイショ! ……大分磨げましてござります」

鯖の腹のようないさぎよい光に、大鉞は光り出した。

「ねえ小次郎さま」

と浮藻は云った。

「ではあなたはママのテコナは、阿呆の女だとおっしゃるのね。……ではあなたにはママのテコナの、純な生一本の心持ちが、ちっともおわかりになりませんのね」

ずいぶん不平だというように、そう浮藻は云い出した。

「と云うわけでもありませんが……ええと、さあ、何んて云おう……融通の利かない不経済な……ええと、さあ何んて云おう」

すこしこわそうに桂子の方を見、当惑したように鼻に皺をよせ、