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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
すぐに時綱がその後を追った。と、鬨の声が門の方から起こった。三条河原に屯していた、二千の兵が寄せて来たのである。
門を破り築地を乗り越え、六波羅勢はこみ入って来た。
土岐の郎党は眠りからさめ、物具もつけず走り出で、死に物狂いに防戦した。
比較にもならぬ多勢に無勢、頼兼の家臣は一人で十人、二人で百人の敵を受け、けなげに力戦苦闘はしたが、またたく間に斬り立てられた。
と、館の縁の上へ、時綱の姿が現われた。
「土岐頼兼を討ち取ったり。……敵ながらも天晴れ腹切って死んだわ! ……首級取ったは山本九郎時綱!」
と大音声に呼ばわって、鋒に貫いた頼兼の首級を、高くかざして味方に示した。
ドッと喊声が湧き起った。
「主君討たれて候うぞ! お供仕れ! 一人も生くるな!」
名を惜しむ源氏の流れであり、美濃の名族の土岐の家臣は、こう声々に呼ばわって、眼にあまる大軍の六波羅勢の中へ、駆け入り駆け入りして切り結び、相撃ちとなって死ぬ者あり、刺し違えて死ぬ者あり、一人のこらず死に果てた。
生け擒りされた者は一人もなかった。
頼春はただ茫然としていた。
自分の周囲で討ちつ討たれつ、斬りつ組みつ殺しつ殺されつしている、人と人との戦いも、槍、長柄、太刀の閃きも、馳せ違い入り違う人馬の姿も、ただ「一団となって動く物」