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みたびとうほうのへいわをろんず

三たび東方の平和を論ず

大隈 重信

「新日本 第四卷第五號 創刊三周年記念號 臨時増刊」冨山房、1914(大正3)年4月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,089 字 · 24 页

青空文庫

この権利は何人もあえて左右する事は出来ない。吾人は早晩近づくべき支那のこの運命に対してあらかじめ大いに備うるところがなくてはならぬ。四千年の文明を有し歴史を有する対岸大陸のかの大国家をその不幸より救済する使命は、この大日本帝国を除いて、そも何処に在るか。かくの如き使命は単に力のみの問題でない。金のみの問題でない。同種同文にして思想、感情、風俗、習慣、すべてその源泉を同じうする民族でなければならぬ問題である。特に上来説けるが如く、国境は相隣りしている。一朝力を以て臨むという場合にも日本が最も便要の位置にいる。有事の際咄嗟の間にその国民の安寧秩序を保全する能力は、日本を措いて抑々何処に求むべきであろう。しかし日本の兵が直ちに支那の国境に臨むという事には往々にして誤解を生じ易い。誤解は嫉妬を生じ、嫉妬はやがて平和を攪乱する事ともなる。それ故、その誤解を列強の間に避くる事が肝要である。日英同盟の力は能く支那の安全を保ち、且つまさに来らんとするその土崩瓦解を十分に防ぎ得ると信ずる。が、なかんずく日本がその運動の主人公となって最も多く責任の衝に当らねばならぬ。