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みたびとうほうのへいわをろんず
三たび東方の平和を論ず
大隈 重信
「新日本 第四卷第五號 創刊三周年記念號 臨時増刊」冨山房、1914(大正3)年4月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,089 字 · 24 页
今日日本の国際貿易に於てその額の大なる、支那に過ぐる処はない。支那の生産力の現在甚だ低きために、物資の大部分はこれを我が国より供給している。加うるに人口の多き、更にその繁殖力の盛んなるを思えば、支那人は実に現在我が国の一大顧客たると共に、将来益々我が国の一大顧客たらんとするものだ。日本は債務国として今日借金に苦しんでいるが、この対支那貿易にして将来益々盛んならんか、早晩債務国たる運命より免れて、更に債権国ともなるべきである。然るにこれ我が一大市場にして不幸にも土崩瓦解ともならば、我が貿易は卒然として止まるであろう。すれば我が国にとってこれほど不利益なる事はあるまい。しかし思えばこれなお目前の小不利に過ぎぬ。更に永久に亙る我が国運の将来を思えば、実に寒心に堪えざるものがある。支那の土崩瓦解の後には、更に恐るべき西洋の新勢力が対岸大陸に現出するであろう。ここに至れば直ちに我が日本帝国の領土保全の上に大なる危害を感ずるものである。日本は今日の財力を守って孤島に退嬰し、果して能く無限に繁殖するその人口を維持する事が出来ようか。所詮不可能である。すれば日本は支那に有する発言権を何処までも強硬に維持せなければならぬ。