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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

子供らは冬の寒中に、南京米の麻袋に這入って慄えていることさえあった。肝腎な働き手の高自身さえ着のみ着のままだったが、それをまた祖母は、世間の手前、余り汚い風をしていては困ると、口うるさく叱言を言っていた。

ある寒い寒い夕方だった。高は戸外から障子越しに、家の中にいる祖母におずおずと言った。

「御隠居さん、すみませんが明日一日休ませていただけませんか。ちょっと手の引けない用事がございますので……」

祖母が炬燵の中から叱りつけた。

「何だって? 休ませてくれだって? そろそろお前もずるけたくなったのかい。横着きめたら承知せんぞ」

「いいえ、そういう訳じゃございませんのです。どうしても出て来られないことがあるんでございます」

「ふん、それじゃ何かい。あしたはお前の家へ、京城からお金持ちの親戚が来るとでも言うのかい?」

叔母は祖母と顔見合わせて、くすくすと笑いながら、こうからかった。

「いいえ、そんな訳では……実は」高はきまりわるげに答えた。「洗濯をしますので……」

「洗濯? 洗濯なら別にお前がしなくてもいいじゃないか。そのための女房じゃないか。お前も随分甘いんだね」