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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

新聞売子

つまりここでもまた、本人同志の意志が少しも顧みられず、ただ、親達の都合のために結婚させられたのである。

だが、源さんはこの大叔父に気に入られただけあって、花枝さんの婿さんとなってからも、実直と倹約一方であった。親のやっている古物商を営みながら、一方では洋服屋を始め、私の行った頃にはもう、小僧の三、四人も使っているくらいであった。三十になるまでに自分の財産を一万円とか二万円とかにするというのがこの源さんの理想であった。

こんな風な家であった。だから、学問をしたいなどいう私の目的に賛成してくれるはずはなかった。

新聞売子

大叔父の家に厄介になっている間に、私は一つの自活の途を探しあてた。それは東京に出て来てから約一ヶ月後のことであった。

何かいい苦学の途がないかと、あてもなく市内をぶらついていると、ふと私は、「苦学奮闘の士は来れ……蛍雪舎」というビラが電柱のそこここに貼ってあるのを見た。田舎から出て来たての私である。それを見ると私は鬼の首をでも取ったような気がした。苦学奮闘の士は来れ! と私は口の中で繰り返した。ことに蛍雪舎という名前が気に入った。そして私は早速その蛍雪舎を訪ねて行った。