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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
その四
そうだ、私は自分の生きていたことをはっきりと知っていた。いくら祖母が、生れていて生れないことだと言っても、私は生れて生きていたのだ。
その四
私が五年に進級した夏だった。学校は公立に改まって高等科が出来た。老教師は師範出の若い教師に代られた。
それにちょうどその頃、附近にかなり大仕掛けな線路移動工事が始まるし、近くの山からはタングステンが発見されたというので、この辺の人気は沸騰して、多くの日人がそのために村に這入り込んで来た。そして学校の児童数も一足跳びに百人以上になった。学校は狭隘をつぐるようになった。そこで、村の中央にある叔母の家の所有にかかる山の麓に校舎が新築された。私達はその新しい学校に移った。とはいっても、教室はやっと二つに増えたきりで、先生もやっぱり一人きりだったので、完全な教育の行われるはずはなかった。
私はやはり叔母たちから必要なものを与えられず、そのためこの新任の教師の服部先生から始終絵具や鉛筆を貸してもらっていた。先生はたしかに私を憐んでいてくれた。けれど先生は村の有力者の御機嫌をとらなければならなかった。だから、よく私の叔母の家に遊びに来る癖に、私のために叔母や祖母に何らの意見も注意もしてはくれないのだった。