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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
その十三
大人は、ことに母親は、子供を危険から譲り、子供の天分をのばしてやるのがその職分です。子供の自由を奪い、子供の人格を奪うのは恐ろしい罪悪です。子供を自由に遊ばせなさい。自由の天地に遊ぶことは自然が子供に与えた唯一の特権です。そうされてこそ、子供は伸び伸びと人間らしい人間にまで成長するのです――と。
私は決して、これを間違った考えだとは思わないのである。
その十三
祖母たちからこうした宣告をうけてから、四、五日後のことであった。
何かの時間の後で服部先生は、ふと憶い出したように、教壇の上から生徒たちを見渡しながら言った。
「どうだね、今度学校で農業を始めたことについて、君たちの家で何とか言っていやしないかね、……たとえば、いいことを始めたとか、困ったことだとか、いった風に……」
子供たちは黙っていた。
先生は私のクラスの細田という男の子を名指してきいた。
「細田のうちはどうだ。兄さんが何とか言わなかったかね」
肺病の兄と二人で暮している細田は答えた。
「兄さんは身体が丈夫になって好いと言って喜んでいます」
先生は嬉しそうな顔をして、今一度教室を見まわした。
「うちのお父さんもそう言ってたわ」