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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

その部屋を祖母たちは、陰で「女中部屋」とよんでいた。まことに私は、とうとう本ものの女中にまで堕されてしまったのだ。

女中部屋は祖母の部屋と向い合っていた。壁一重隣は薪小屋で、女中部屋は物置小屋の一部だった。広さは三畳余りであったから、独り住むのには充分だったが、でも、もともと物置小屋なのだから、女中部屋となってからもなお半分は物置きに使われた。入口の土間にはバケツや漬物桶やかめなどがごたごたと置かれ、部屋の棚には洗った飯櫃や箱や新聞で包んだいろいろなものが一ぱい載せられていた。私の物とては、衣類を入れた箱と汚れた色褪めた蒲団ぐらいのもので、机もなければただの一枚の座蒲団すらもなかった。暗い、じめじめした、黴臭い、陰気な部屋だった。窓とては、祖母の部屋に向った側の壁に障子半枚ぐらいの大きさの穴がえぐられているばかりだった。そのいやな部屋で私は昼も夜も雑品と一緒に暮させられた。母屋の方で仕事のない限り、私はこの陰気な部屋の中で独り、言いつかったほどきものなんかをして日を過したのだった。

とはいえ、私は決して、この物置小屋の陰気さを厭うたのではない。貧乏と苦痛とには私はもう馴れきっている。