轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

朝鮮から東京に来て、どんなに困った時でも、私は実に、他人の藁すべ一つだってひそかに自分のものとしたことはない。そうした私が、この叔母の家にいるうちに、盗みをさえするようになったのだ。

どうして私がそんなさもしい根性になったのであろう。一通り私はその事情を話さねばならない。

子供に現金を持たせて買い物をさせるなどは下司の貧乏人のすることで、上品な金持階級のすることでない。こういうのが祖母達の処世哲学であり、衿持でもあった。それゆえに私は、私の欲しいと思うものを買うのに金を持たされたことがなかった。大抵はうちの誰かが買って来てくれるか、そうでなかったら「通い」で取って来るのであった。

ところがこれは、私が私自身のものを買う時のことに限っていて、祖母たちの家の必要なものを買う時にはこの限りではなかった。ことに私が学校を卒えて「女中部屋」の住人となってからはなおさらそうであった。私はよく金を持って買い物に遣わされた。「市」の立つ日などは必ずそうであった。

朝鮮の田舎には普通月五、六回の市が立つが、芙江の市は旧暦十六の日に立った。

市場は以前、白川近くの方にあって、朝鮮でも指を折られるほどの大きな市が立ったそうであるが、鉄道が敷かれてからはずっと寂れたので、場所も村の中央に移し、今ではせいぜい三、四里以内にある村