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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
が、その度に父は根気よく尋ねまわって、しまいにはとうとう探しあてて来るのであった。
二度目に叔母がつれ戻されたとき、私達はまた引越した。それは横浜の久保山で、五、六町奥に寺や火葬場を控えた坂の中程にあった。
父は相変らず何もしていないようであったが、そのうちどうして金をつくって来たのかその坂を降りたとっつきの住吉町の通りに今一軒商店向きの家を借りた。父はその家で氷屋を始めたのだった。
氷屋の仕事は叔母の役目だった。母と子供達は山の家に残り、父は昼間だけそこに行って帳面をつけたり商売の監督をするのだと言っていた。が、それはただ初めの間だけのことで、ほどなく滅多に山の家には帰って来なくなった。つまり体よく私達母子を、父と叔母との二人の生活から追ん出してしまったのである。
私はその時もう七つになっていた。そして七つも一月生れなのでちょうど学齢に達していた。けれど無籍者の私は学校に行くことができなかった。
無籍者! このことについては私はまだ何も言わなかった。だが、ここで私は一通りそれを説明しておかなければならない。
なぜ私は無籍者であったのか。表面的の理由は母の籍がまだ父の戸籍面に入ってなかったからである。