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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
朝鮮から帰って来た私を迎えに来てくれた千代さんが、私と一緒に泊まったのはこの叔父の望月庵であった。私達はその晩、三人で奥の納戸に並んで寝た。私は二日二晩汽車に乗りどおしてあったから、何も知らずにぐっすりと寝込んでしまったが、二人はその晩、それをいいことに、夜一夜、勝手な真似をして楽しんでいたのだった。
叔父と千代さんとの関係は、円光寺にも村の誰彼にも私の祖父母たちにも知られていた。だが円光寺の和尚さんも、私の祖父母たちも、別にそれをやかましくは言わなかった。「ちょうどいい」と内心ではかえって喜んでいるのだった。
とはいえ私はまだ、叔父のそうした経歴については知っていなかった。そしてただ一種の好意を叔父に寄せているだけのことであった。
父が大の酒好きであることを知っていた叔父は、有合せのおかずで酒を出した。二人は互いに盃を取り交わしながら、いろいろの憶い出を語ったり、親類の人たちの噂話に花を咲かせたり、とかくの非難攻撃を浴びせかけたり、それからまた叔父の今の境遇や私のことまでも話し合うようになった。酒はもう大分まわっていた。父は更まった口調で、
「ふみ子のことといえば……なあ元栄、わしは実は今日、あんたに少し折入って話したいことがあって来たんだが、ちょっと別室を貸してもらえないかね……」