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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
それから、男物の絽の羽織地を出して「すまないが大急ぎで縫い上げてくれ」と言いつけられた。客の食事のお給仕をさせられたことは言うまでもない。
千代さんは二、三日逗留してから家に帰った。そしてそれから間もなく、客と姉夫婦との間で、千代さんの縁談が纏められた。
千代さんはもうどうすることもできなかった。千代さんは自分の愛するものを持っていた。けれど千代さんは自分の夫を自分で選ぶことを許されなかった。千代さんはただ、奴隷のようにか品物のようにか、売られたのだった。
千代さんは煩悶した。やせるほど苦しんでいた。
千代さんは、その事情を、私や叔父に話した。そしてどうかしてこれを断る法がないかと相談した。だが、肝腎の叔父はもう、以前のような熱情を千代さんに持っていなかった。無論、千代さんと結婚なんかする気は毛頭なかった。結婚するには千代さんはもう、余りにも新鮮味がなかったのだ。
千代さんの真心からの訴えにも、叔父の心は動かなかった。叔父はただ義理一ぺんの挨拶をするだけだった。
「悲しいことだ。あなたばかりじゃない。僕も苦しい」
こんな風に叔父は言った。だけれどじきにまたその後につけて言うのだった。