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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
「およしなさいよ、お父さん。そんなひどいことを言うもんじゃないわ」と叔母は傍から口どめした。
けれど父は承知しなかった。叔母に口どめされるとますますたけり狂って私を罵った。
「貴様が朝鮮を追っ放われたのは当然だ。朝鮮のものがわるいんじゃない、みんな貴様がわるいんだ。生意気で、強情で、根性がひねくれてさ……そんなことでは誰が世話をみてくれるものか。追ん出されるのは当りまえだ。見ろ、現に親にさえ、あきれられ愛想をつかされてるじゃないか。とにかく、貴様のような親不幸者は家に置けない。第一、賢のしつけにならん。さあ出て行け、今出て行け」
父はもう私の襟髪を掴んでいた。襟髪を掴んで、さも憎々しげに部屋じゅうを引ずり廻した。叔母が父の腕にしがみついて、「およしなさいよ、お父さん、およしなさいよ」と泣きながらとめた。そしてその場はとにかく、それでおさまった。
とはいえ、父が「貴様が来てから家はもめだした」と言ったのは事実である。今まで記してきたように、私と父とは何から何まで気が合わなかった。意見も合わなかった。ことに、叔父の一件から、私達はほとんど敵同志のようになっていた。