轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
私、初めのうちは可哀相だと思って五銭六銭出してやったが、でもきりがないので、この頃はもう片っ端から断ってやることに決めてるのよ」
「ええ奥さん、それが一番ですよ。可哀相だ可哀相だといってた日にゃ、こちらの口が乾あがってしまいますからねえ」
「ほんとに、全くだわ」
そう言って二人が高笑いしているのを、私はその家の外に出たときにきいた。
せっかくの勇気をへし折られて、私の足は一層重くなった。またもや私は、ただ、ぶらぶらと歩いた。が、もう日暮どきであった。私はどうかして食べものにありつかねばならなかった。と、ある横町の路地の奥で、櫛巻きの女が洗濯しているのが見えた。その傍にその女の子供らしい七、八つの男の子がいた。
「ほんとうにお前見たいないたずらっ児はないよ、さっき着せてやった新しい着物がもうこれだ。見ろ、こんなに車の油なんかつけて、ちっとも落ちやしないから……」
女はこうその男の子を叱りながら、白地の浴衣を洗濯板でごしごしとこすっているのだった。
私はつかつかとその側に近寄って行った。夜店で毎晩、わざわざ白布に機械油をしませて綺麗に洗い落して見せていたほどである。