轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

学校は、時間はあるが月謝の工面がつかぬので正則だけにした。その頃私は二年級にいたが、夏期の特別講習なので朝の七時から出なければならなかった。

私は朝早く起きて聖書の一くだりを読む。そして壁際に跪いてお祈りをすまして学校に出かける。洗面器は売ってしまったので顔を洗うことが出来ないから、顔は途中にある湯島公園の便所の出口の手洗鉢で洗った。

金のある時には昌平橋の方にまわってガード下の簡易食堂で朝食をとったが、ない時には順天堂脇からお茶の水を通る近道から学校に行った。

講習会に出るようになってから、私は一つの恩恵にありつくことができた。それはこの講習会に来た二、三の女生のうちの一人、河田さんが、毎日大きな弁当箱に御飯を一ぱい詰めて持って来てくれたことである。河田さんは戸塚あたりに住んでいるある社会主義者の妹さんであった。

だがそれにもかかわらず私はもうどうにもこうにもならなくなっていた。そこでふと思いついて、冬の衣類を二、三枚風呂敷に包んで質屋の暖簾をくぐった。

「へえ、いらっしゃい」と、薄暗い店で算盤をはじいていた番頭が顔をあげて私を迎えたが、多分私の身窄らしい装を見て物にならないと思ったのであろう、再びまた算盤と帳簿との上に目を注いだ。