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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
そして二人でいろいろのことを話していると、そこへ「ごめんください」と二人の男が這入って来た。
二人とも二十三、四らしく、一人は色が白くて背が高く、も一人は中肉中背で、細面で、髪を長くオールバックにし、黒いセルロイド縁の眼鏡をかけていた。
瀬川は二人を私に紹介した。毛の長い方は、かねて瀬川からきいていた鮮人の社会主義者で玄というのであるが、普通には日本名前の松本で通っていた。今一人の背の高い方は玄の友達で趙さんというのであった。
「この下宿にね、玄という朝鮮の社会主義者がいるんだが、尾行が二人もついていて、そりゃたいしたものだよ」と、いつか瀬川が私に話してきかせたことがあるので、私は特に注意して玄を見た。が、別にたいして変ったところもなし、社会主義者らしい話もしなかった。それに私が来ているのでわるいと思ったのか、ほんのちょっと話したきりで瀬川の部屋を出て行った。
その夜私は、いつものように、一組しかない蒲団で瀬川と一緒に寝た。
翌朝、宿の女中が朝飯の膳を運んで来たが、一人前しかなかった。瀬川はしかし私の分を注文しなかった。自分一人で箸をとってから、
「ふみちゃん、御飯たべるかい? 食べるなら僕の分残しておくけど……」