轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
と、いきなり母は起き上って来て「はやく行かないか」と私を外へ突き出して、ぴしゃりと戸を締めた。こうなればもう運命だ。私はありったけの勇気を出して、死んだ気になって息もつかず駆け出した。森の下をいつどうして通ったのか私は覚えていない。焼芋屋で温かい芋を風呂敷に包んでもらって、再びまたもとの森の下を何物かに追っかけられるような気に追い立てられながら、ひた走りに走って家の中に飛び込んだ。
だが、ああその時! 私は思わず顔をそむけて再びまた暗い戸の外へ跳ね返されないではいられなかった。
母は焼芋が食べたくはなかったのだ。ただ私を追ん出したかったのだ。
春になって学校の修業式が来た。
が、お慈悲で通わせてくれている私には免状など与えられないとのことであった。それでは私は進級することもできないわけだ。母はまた校長のところに行って私のことを頼んでくれた。その結果、私は、尋常一年の課程をおさめたという証明書がもらえることになった。そこで私は、母の知合いの家の男の子の絣の筒袖に鬱金縮みの兵子帯を結んでもらって終業式に出た。
式場の正面の、白い布で覆うたテーブルの上には免状やら賞品やらが高く積み上げられている。