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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
ばくちを打ち、辻褄の合わぬちぐはぐな駄ぼらを吹き合う、そしてその揚句のはては恐ろしい喧嘩だ。
こうした空気の中に在って、怠け者の小林が働こうはずはない。子供の私にさえじれったくなるほど、そして、しまいにはよくもこんなに飽きないものだとほとほと感心したほど、来る日も来る日も小林は、朝から晩まで部屋の隅にころがってぐうぐう眠っていた。
私達は一日に三度の飯を食べたことは滅多になかった。まるっきり食べない方がかえって多かった。私はいつも空腹であった。今でも私は空腹の時には思い出す。私が空っぽの胃を曳きずってひょろひょろ街を歩いているうちに、ある家の芥溜めの中に、焦げついて真黒な飯が捨ててあるのを見て、そっとそれを口に入れたことを。そしてそれをどんなに美味しいと思ったかを。
「ほんとにお前に苦労をかけてすまない」と母は常に面目なさそうな顔をして私に詫びた。
私が、「あんな男と一緒にいるからだわ」と言うと、母は一層困ったような顔をして言うのだった。
「今少し働き者だろうと思っていたのに、ほんに呆れた奴だ。もう懲々だ、ほんとにこりた。誰が何と言っても、石にかじりついても独りで暮した方がよかった。