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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

通信社においても同様にすごい収入増加があった。

だが、記者たちは、いずれも困憊し、そしていずれも苦が蟲を噛みつぶしたような顔をしていた。

「一体これからどうなるんだ、われわれ人間さまは……」

「ビフテキ――いや人間テキにされちまって彼等にぱくつかれらあな」

「君なんかは肥っていて肉が軟かで、人間テキにはおあつらえ向きだってね」

「何をいうか、僕はテキになるまでこんなところにまごまごしてやしない」

「ふうん。自殺するってわけか」

「うんにゃ、自殺は嫌いだ」

「じゃあ、どうするんだ」

「ふふふ、こいつはあまり誰にも聞かせたくないビッグ・アイデアだがね、外ならぬお仲間たちだから喋るが、実はアルプスの山の中へ立籠るんだ。氷に穴をあけてね。そこにいれば大丈夫だよ」

「なぜ」

「なぜって、例の怪物は今海底にいるところから考えると、あれは魚類の親類なんだ。魚類の親類なら氷の山の上までは昇ってこられないよ。もし来たら冷凍されちまうからね」

「なんだ、ばかばかしい。それにアルプスの中はいいが、末には食糧に困るぞ」

「うん、そのときは夜な夜な下山して、あの怪物狩をして、あべこべに彼等の肉でフィッシュ・フライを作って喰べる」