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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

消えるとも分らぬ火災を傍観しているばかりでも済ましていられず遂に防火服や防圧服に身を固め、船腹の一部へ突進して溶接器で穴を穿ち、たちまち噴き出す火焔と闘って懸命の消火作業を続け、ようやく火焔を内部へ追いやると共に、防火服の冒険記者が船体の中へ匍い込むなどという、はらはらする光景も展開するようになった。しかも、こういう努力に対して酬いられるところは一向大きくはなかった。たとえば、このゼムリヤ号の航海日記などはどの通信社でも第一番に狙ったものであったけれど、それは誰も手に入れることが出来なかった。というのは、船橋などはもう既に完全に焼け尽し、真黒な灰の堆積の外に何も残っていなかったのである。その他のものも、呆れるほどよく焼けており、この数日ゼムリヤ号の火災が普通以上に高熱を発して燃え続けたことが、誰の目にもはっきり承認された。

そうなると、調査方針は自然変更されねばならなかった。今度は積極的に消火することに狙いが置かれた。今盛んに燃焼している部分を完全に消し留めることによって、これから先燃焼するであろう物件を助け出し、それによってゼムリヤ号の搭載荷物とか遺留物品を点検して何かの新しい手懸りを得ようとするのであった。