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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页
だから話懸ける隙もないのだった。
「何事が起こっているのだろうね、ホーテンス」
ドレゴは酔いも醒め果てて、アメリカの記者の腕を揺すぶった。
「分らない。しかし博士が予期していた以上の驚愕にぶつかっていることは事実だ」
やがてこの調査団室の風が一先ず鎮まる時が来た。それはワーナー博士が自席に戻りハンカチーフで額の汗を拭ったことによって知れた。
「何事が起こったんですか、ワーナー博士」
ホーテンスが、待ち兼ねた質問の矢を放った。
「煙草を、誰か……」
博士が記者の方を見た。水戸が、ケースを博士に差し出した。そして博士の指に摘まれた紙巻煙草の一本に、ライターの火を移した。博士は、貪るように強く煙草を吸った。
「予想以上に奇怪なる海底地震にめぐり合ったのだ」
博士は、夥しい紫煙の中から、そういった。
「ほう。でも、われわれは自分の身体に地震を感じませんでしたがね」
水戸が早口に言葉を挿んだ。
「もちろん計器の上に感じた地震だ。すごい伝播速度のものだ。秒速二千四百キロメートルを観測したよ」
「なるほど、普通の地震の場合の三十倍以上の高速ですね」
「ふうん、君は勉強しているね」