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だいうちゅうえんせいたい
大宇宙遠征隊
海野 十三
「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页
われわれにはもう胃や腸が退化して無くなってしまったといってもいいのです。われわれはもう充分によく消化されたような『食物』を口からではなく直接血管の中に注ぎ込んで生きているんです」
「ふーむ、すると病人が葡萄糖の注射をするようなものだな」
辻艇長がうなずいた。この話を、風間や木曾に聞かせたら、成程、といって、あの妙な缶詰と、それからそれを彼らが口ではなく、頭のあたりにのせて空にしていたわけを思い出したに違いない。
「だが、君たちは高等生物に似合わぬ恰好をしているね」
「いや、これは鎧を着ているんです。私たちの身体は、火星の弱い引力のために、地球の人に比べたら非常に柔らかく出来ているので、こういう鎧を着ているわけです。
この羽根は一人一人の飛行機のように、飛ぶためのものですよ、簡単な、しかし強力な動力装置がこの羽根の下についているんです」
「ふーむ、しかし我々がこうしているんだから、君も鎧をぬいだらどうだね」
幕僚がいうと、
「駄目です、駄目です、この司令室は地球と同じ気圧になっていますから、私がこの鎧をぬいだら一ぺんで参ってしまいます」
「あっ、そうか、では仕方ないな」