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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

しかし、思わず力がはいりすぎて、いやというほど顔を壁にぶっつけたときは、目から火が出たように思った。

とつぜん、彼の耳に、あやしい響がはいった。

「あれは何?」と、考えてみるまでもなかった。それは、扉をへだてて、奥の寝台の上で寝ている辻艇長の例のいびきだった。

「ああ、艇長は、まだ、よくねむっていられる!」

ふだんは、側で聞いていて、かなりうるさいいびきだったが、きょうばかりは、そのいびきが三郎を元気づけた。

「ああ艇長は、どうしていられるのかしら」

三郎は、急に艇長のことが心配になったものだから、仕切りの扉のところへいって、そのうえをどんどんと叩いた。

「艇長、どうしておられますか。異状はありませんか。辻艇長!」

三郎は、大声でどなった。

だが、仕切りの扉の向こうから聞えるものは、あいかわらず、ほらの貝をふきたてるような艇長のいびきだけであった。

「艇長、艇長。重力装置が停まっていますが、そっちには異状ありませんか」

どんどんどん。

三郎は、やけになって、扉を叩いた。すると、

「あっ、ああーっ」

艇長の、のびをする声がきこえた。

ところが、この声は、寝床のうえから聞えず、とんでもないところから聞えたから、三郎は、面くらった。