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だいうちゅうえんせいたい
大宇宙遠征隊
海野 十三
「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页
「ああ、もうずいぶん遠く離れたという感じだねえ」
艇長は、距離のことを考えている。
「月は、どのくらいに見えますか」
「そうだねえ。月がこの噴行艇のそばへ廻ってくれば、これよりももっと大きく見えるはずだよ。おい艇夫。コーヒーが、ぷうぷうふいているじゃないか」
「あっ、コーヒーのことを忘れていた」
三郎は、大いそぎで、コーヒーのところへとってかえした。
「ああっ、少しで、コーヒーをまたやりそこなうところでした」
三郎は、卓子のうえで、コーヒーを注いで出した。
艇長は、テレビジョン装置のスイッチを切って、壁を元どおりにし、コーヒーをのむために卓子についた。
「ほう、これはよくわいている。あちち」
艇長は、コーヒー茶碗のふちで、口をやいたので、あわててそれをがちゃんと下においた。そのありさまがとてもおかしかったが、三郎はふきだすのをがまんした。艇長さんのことを、あまり笑うものではないからである。
「こんな宇宙のまん中で、コーヒーがのめるなんて、ありがたいことだ」
艇長は、コーヒーをふきながら、ひまつぶしにそんなことをいった。コーヒーは、なかなかさめなかった。
そのときであった。