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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

三郎は、それをきいて、まず安心したが、しかしどうして月の上に降りられるのか、またどうして月の上で、人間がいきをしていられるのか、ふしぎでならなかった。

「艇長。月の上には空気がありませんね。すると人間は、呼吸ができないではありませんか」

「それはわけのない話だ。酸素吸入をやればよろしい。われわれも現に噴行艇の中で、こうして酸素吸入をしながら安全に宇宙をとんでいるではないか。だから、月の上に降りれば、一人一人が酸素吸入をやればいいのだよ」

「なるほど、そうですか。じやあ、一人一人が、酸素のタンクを背負うのですね」

「まあ、そうだよ」

三郎少年は、やっとわかったような気がした。月の上へ降りて、背中に酸素のタンクを背負っている姿を考えると、ちょっとおかしい。

「おい、艇夫。もう外に、心配なことはないかねえ」

艇長は、からになったコーヒー茶碗を、三郎にかえしながら、たずねた。

「いきをすることが、うまく出来るなら、もう心配はありません」

三郎は、そう思っていたので、そのとおり返事をした。すると艇長はにやにや笑いだした。

「艇夫、お前は、月の世界へいってから、ずいぶん意外な思いをするにちがいない。