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だいうちゅうえんせいたい
大宇宙遠征隊
海野 十三
「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页
「そうでした。閣下におっしゃられて、はじめて気がつきました。計算をしてみれば、よくわかりますが、これからのちには、きっと今よりも、ずっと地球に近づくときがあるはずです」
「じゃあ、すぐ計算にかかりたまえ」
「はい。どのへんまで近づくか、早くしりたいものですねえ」
「あわててはいかん。まちがいのない計算をたてたまえ。そのあとで、どうしてそのムビウムを採取するか、その仕掛けのことも考えるんだ。性能のいい噴行艇をそろえるにも、これから相当の日がかかるだろう、何年かあとに、一等近づいてくれると、こっちには都合がいいのだが……」
実戦の猛将でもあり、また航空技術にもすぐれている大竹中将は、早くもこれからの方針を頭の中にたてて緑川博士をはげましたのであった。
こういう秘話があってのちに、百七十隻の噴行艇から成る宇宙遠征隊が編成せられたのであるが、それは三年のちのことであった。そしてムーア彗星は、それからのち更に五年ののちに一等地球に近づくのであった。
これはつまり、その当時から八年後にムーア彗星は、一等地球に近づくのであって、すべて緑川博士の計算から出てきたものであった。