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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

そこでこの奇怪な目にあっている第四斥候隊からの報告が切れた。

すると、すぐ続いて、今度は第五斥候隊からの無電がはいって来た。

「お、第五斥候隊からの報告だよ、うむ、うむ、無事だったと見えるな」

艇長は、ひとりでつぶやいて、ひとりで頷いた。そしてすぐ又、いそがしく鉛筆をはしらせている無電員の手もとを見つめていた。

“第五斥候隊報告。わが隊の携帯用無電機眼がけて拳をふりあげて来った怪物団は、その甲虫の如き頑丈なる身体つきにも拘わらず、力ははなはだ弱きことを発見せり。

彼らはわれわれの強力無双なるに驚愕せらるものの如し……”

「ふーむ――」

辻中佐は、その報告を読んで、にやりとした。この第五斥候隊が、自分で自分たちのことを強力無双などと大変な力持ちのようにいっているのには、わけがあった。つまり、ここは月世界なのだから、地球に比べて重力は六分の一しかないのである。地球上で十キロのものしか持ち上げられない者も、この月世界に来れば、実に六十キロの大岩石を悠々と持ち上げてしまうことになるのだ。地球上の六倍の力もちになってしまうのである。だから、第五斥候隊となっている艇員たちは、誰も彼も、二百キロぐらいの大岩石を、平気で投げ飛ばすほどの力持ちばかりが揃っていることになるわけである。