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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『寺田寅彦 わが師の追想』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「寺田寅彦の追想」後書、実験室の思い出、墨流しの物理的研究、墨並びに硯の物理学的研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 页
と言って、上機嫌で帰って行かれた。
水素の実験は、その後湯本君がずっと続けて、湯本君にとってはほとんど半生の仕事となった。私はその後爆発の方とはちょっと縁が切れていたのであるが、数年前、北海道の炭坑でメタン瓦斯の爆発が頻々とあって、それを防止する意味をかねて、メタンの爆発の研究をしたいという人が出て来た。炭坑の爆発はその後もかなり頻繁にあって、時局柄重大な問題なので、私もその人と一緒に少し手をつけて見たことがあった。考えて見ると、条件は飛行船の爆破の場合とよく似ているので昔の実験を思い出して、水素をメタンに置き換えるだけで直ぐ仕事にとりかかることが出来た。
結果は水素の場合とよく似ていて、唯色々な燃焼伝播の特性が、メタンの場合にはもっと著しく現れることが分かった。十五年前にあの暑い実験室の片隅で毎日採っていたグラフと質的には全く同じ結果を、今日北海道の実験室で熱心な助手の人が、炭坑の爆発に関聯した問題として得ている姿を見て、ここにも因縁のようなものを感ずる機会があった。
水素の爆発の研究には、ちょっとした劇的挿話があった。それはちょうどその頃SSという航空船が、飛行中全く原因不明で、霞浦の上空で爆破したことがあった。