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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页
かれらはくちかずが少なく、無表情で、またひどくぶあいそにみえる。それは長い年月、排他的な生活をしてきたためであろう。気持は純朴で、こまかいところにもゆき届いた思い遣りをもっている。それこそ針や糸の心配までして呉れるが、黙って持って来て、こちらで気づかないうちに置いてゆく、というふうであった。……これらの心づくしに対して、いまのところなにも返礼の法がない。もちろん、かれらもそんなものは期待していないようであるが、いつかしぜんに、そういう機会がくるだろう、と思われるし、現実にもごく少しずつではあるが、お互いの隔てがとれてゆくようであった。
静かな日が続いた。訪ねて来るのは花世ひとりである。いうまでもないが、花世が来ていると、静閑とはいえなかった。
――あまりしげしげと来ては、人にめだって悪いから。
こういう意味のことを幾たびか云った。じっさい清左衛門という人にも遠慮であるし、まわりの者のおもわくもどうかと思われた。しかし花世は平気なもので、彼の云うことなど耳にもかけなかった。ときに二日三日姿をみせないと思うと、次にはあの「ほっほう」という呼び声を陽気に聞かせながらやって来て、