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さこんのいかり
左近の怒り
「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页
「それはいいね。漁師町は魚くさいのが玉にキズだが、いいものだよ。二三日滞在して東京の垢を落すんだな」
「ノンキなことを云ってるよ。ボクたちは夏川さんの護衛なんだぜ。ボクがついてりゃ大丈夫だが、さもないと道中が危険なのさ。この人は何も知らねえな」
タコスケは谷本がおいていった太平洋新聞を左近に示して、ついでに出がらしの番茶をついでやった。
「住田嘉久馬氏雲がくれ、とあるだろ。ところでだね。重大なのはこの三四行なんだぜ。住田氏雲がくれの裏面には一億五千万の大金が動いた形跡があるというのさ。つまり住田が一億五千万の金をもらって雲がくれしたというわけさ。住田の行方は太平洋新聞が必死に追っかけているのだよ。ところがだよ。葉子さんが玉子にユーカイされて連れこまれたのが住田の隠れ家ですよ。葉子さんは住田の顔も見てきたのですよ」
「住田がユーカイしたってわけかい」
「そうなんだよ。夏川さんを白雲荘へ連れこんで、金庫を爆破しなければならないようなハメにさせたのも住田ですよ。それがいま分ったのさ。いいですか。夏川さんが爆破するはずだった金庫はその住田の隠れ家の金庫ですよ。それを爆破して夏川さんが何物かを盗んで逃げる。