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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
彼の現在の地位によって、彼の人物を評価することは、まちがっている。ブラリと帰国して、押しかけ下男に住みこんで、ヒョウ/\と気楽に暮している彼の言動には風格があった。石頭ではあっても考え深い石頭である。彼の判断は常に聡明で正確だ。
私は重吉を大孫と断定した。
「実は秘密の話があってな。今日の用件は殺人事件に無関係のことだよ。さる人からの依頼で、お前に援助してもらいたいと言ってきている。くわしいことは知らないが、金大祖の没後、お前が龍教の教祖の後継者になっているがひとつ龍教信徒に指令してもらいたいことがあるという」
我々はカタズをのんで蛸重の顔を見つめていたが、彼はニヤリと、一笑しただけのことであった。
「どうだい。ひとつ、たのみをきいてくれないか」
「旦那、それは、いけません」
蛸重はニヤリとしたが、又、案外神妙な顔でもあった。
「金大祖の後継者は私ではありませんよ。とんでもないマチガイさね。後継者は誰か、これはある限られた人のほかは誰も知ることができませんや。なぜならその限られた人々は、殺されても、その名を明すことがないからでさア。こればッカリは、ヤボなカマをかけても、ダメ」