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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

投書狂というのもあるが、何の目的で投書したのだろう。まったく迷わせますな」

安彦を解剖した病院から中間報告がとどいていた。

死因は絞殺。単純に絞殺だけで、服毒していない。安彦はココアをのまなかった。誰も彼のためにココアをつくってやらなかったのだ。

死亡の時刻は九時前後と推定されていた。

それにつけ加えて、簡単に次のような走り書がついている。

お尋ねの身長の件、特に六分縮むべき理由見当らず。残存せる片足、上半身健全にして、アゴに大きく肉をそがれあるも、直立せる身長に変化を生ずべき原因となり得ず。

問題は計器に書きこまれている安彦の昔の身長が、何人かの作為か否か、ということだ。

ところが、これは、小田原中学へ調査に赴いた警官が五年生在学中の体格検査表をもってきたが、ここには、五尺五寸五分とある。

安彦の屍体は五尺五寸六分であり、計器に書きこまれた昭和十五年の身長は五尺六寸二分であった。

「中学校の五年生というと、まだ延びる時だからな。もう延びないという人もある。まことに微妙な別れ目の期間だよ。こんな報告をもらったオカゲで、こっちは余計迷うばっかりさ」

「もっと上の学校を調べたら」