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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
大矢捜査主任は例の寛大さで、又、私をいたわってくれた。この寛大さというのが、又、私には、つらいのだ。論争にもならないのだから。
「イヤ、まったく御見事な着眼ですよ。私どもも、そう考えたいところなのです。しかし、警察官というものは、もっぱら物的証拠によってしか事実を確認し得ないルールがありまして、目下のところ、心理を物的証拠にとりいれるほど発達していないのですよ。理論物理学と実験物理学のアレですよ。矢代さんの仰有ったのは理論物理ですよ。我々は、その仮定を元として、実験して、さがす。しかし、捜査官としては、一つの仮定にこだわらず、可能なあらゆる仮定を立てゝ、一つずつ真偽を実験して行かなければなりません。物的証拠のヌキサシならぬものを発見しなければならないのです」
なんのことはない。私の熱演も、捜査第一課の講義にあずかって、オジャンになってしまった。
巨勢博士が、又、ニヤニヤした。
「先生、着眼の妙ですな。文学的に、安彦氏はニセモノ也、とは、御見事、々々々。さすがに、ボクの先生ですよ。もう一つ、文学的なところをおききしたいのですが、なぜ、ニセモノを連れてきたのでしょう」