轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

「いいえ、それが最後です」

「定夫君はあなたの隣室ですが、何か物音に気づきませんでしたか」

「なんの物音にも気づきませんでした。私は催眠薬の昏睡以来、ズッとよく寝つかれませんので、寝床で本を読んでいました。一度、便所へ立ちましたが、その時は廊下に定夫兄さんの姿はありませんでした」

「ホホウ。それは何時ごろですか」

「九時ごろと思います。寝床につく前ですから。滝沢さんの食事がおそかったので、モトとスミは、まだ台所に働いていました。だから、モトとスミは、私のあとで、廊下を歩いて通った筈です。そのときも、定夫兄さんはまだ廊下に倒れてはいなかったのでしょう」

「なるほど、それは良いことを教えていただきました」

「あなたは、定夫君の中毒を、どう判断しますか。中毒、他殺、自殺?」

美津子は静かに答えた。

「たぶん、他殺。定夫兄さんは自殺する人ではありません。また、兄さんだけの中毒は、考えられないことですもの。誰よりも中毒する筈のなかったのが定夫兄さんですから」

「ヤ、どうも、ありがとう。皆さんの休憩室へひとまず引きとって下さい」

美津子が立ち去ると、大矢捜査主任は、しばらく考えふけっていた。