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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页

青空文庫

では、おやすみ」

横にねかせて、フトンをかけてやった。すると、もう由之はグウ/\とイビキをかいて、ねむってしまった。

捜査主任は広間へ戻り、由子をよんで、訊問にかかった。

「今晩の食事は由之氏、あなた、美津子さんの三人だけですか」

「いゝえ、はじめは、滝沢さん御夫婦も御一緒でしたが八時から社用がありますとかで、七時半ごろ早めに食事をおえてお出掛けになりました。起久子さんは子供をねかすために、これもそのまゝお部屋へ引っこんで、それからは三人だけが残りました」

「召上り物は同じ物ですか」

「左様です。たゞ父だけは酒をのみますので、ウニとか、シオカラとか、私どものいたゞかない物を好んで食べます。私どもの夕食は、七時から八時半ごろまで、これは父の酒が長くかゝるせいなのです」

「安彦さんの夕食は?」

「これも同じお献立だろうと思いますが、たしかなことは存じません」

「あとに残った三人の方が、特に召上った物はありませんでしたか」

「そういえば、食後に三人だけココアを飲みましたが、砂糖がいつもに比べて利かないように思いました。いつもに比べて余計いれて、それでも、いつもほど甘くはなかったようでした。