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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
五時ちょッと前ぐらいに由之と共に会社をでゝ、そろって由之の妾宅へ行き、六時ごろいったん会社へ戻って、残務を処理して帰宅した。
由之。サイカチ通りの妾宅にいた。彼と三次郎のアリバイを立証する者は、彼ら同志と妾のみで、このアリバイにも疑点がある。
こうしてみると、誰一人、アリバイの成立する男がいないのである。
美津子によれば、安彦は犯行を見ており、犯人を知っていたという。なるほど、時間的に、可能なのである。早川の方から近道を戻ってきて、犯行の現場に行きあい、今来た道をひきかえして、電車通りをブラブラ、箱根口へ、そこから城内へ曲って定夫に会ったとすれば、時間的には、ちょうど、それぐらいなものであろう。
しかし、安彦自身は、訊問に答えて、自殺らしいと云っているのは、ナゼだろう。
モトの話によれば、公一の妻由子は元来安彦が熱愛していた女であったという。安彦を訪ねてくるうちに、公一とできて、安彦をすてたというのである。してみれば、兄公一に対して安彦が大いなる恨みを結んでいたことは当然である。犯人を知っていた安彦が犯人をかばう気持は分らないこともない。
すると、真犯人は? 街の噂では、父由之が倅の妻と関係を生じて殺したという説が有力であるというが、うなずけないこともない。