轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

「労働文化」労働文化社、1950(昭和25)年9月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,840 字 · 88 页

青空文庫

四の一

泰三は憮然として、そして途方にくれていた。

四の一

その年の十二月の初旬に典木泰助と山治家の長女とが結婚した。式は極めて盛大豪華なものであったが、泰三はその式にはまったく関係しなかった。二人兄弟の兄の結婚式に、唯一人の弟が列席しないというのは、愛情のうえからも義埋のうえからも穏当でない。こう思うむきもあるかしれない、が、これは山治右衛門の計略であって、泰三には些かも責任はなかったのである。泰三はそのときは勘定奉行所の検計係に勤めていた。初め同じ役所の仕切方へ勤めてから、それが七回めの転勤である。そしてこんどは当分はそこにおちつくだろうと思われるのは、「計理部」というのは彼のために新設された部署であって、その部には彼一人しかいないし、したがって――従来しばしば記した理由によって――彼のためにべっして迷惑をする者もなく、しぜん転勤を懇請する人間もないからである。また検計係なる役所はなにをするかというに、なにかしらむやみに古い帳簿の、すでに「済」という印の捺してあるものを、もういちど計算し直すというのが役割であった。

――これはかなり重要な仕事であるからして、慎重丹念、時間をかけてゆっくりやって貰いたい。