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いきにんぎょう

活人形

泉 鏡花

「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页

青空文庫

それは出来ないだろう。やっぱり、斬られたり、突かれたりする方が希望なのか、さあ何と。と言わるるごとにひやひやと身体に冷たき汗しっとり、斬刻まるるよりつらからめ。猛獣犠牲を獲て直ぐには殺さず暫時これを弄びて、早慊りけむ得三は、下枝をはたと蹴返せば、苦と仰様に僵れつつ呼吸も絶ゆげに唸きいたり。「やい、婦人、冥途の土産に聞かしてやる。汝の母親はな。顔も気質も汝に肖て、やっぱり我の言うことを聞かなかったから、毒を飲まして得三が殺したのだ。下枝は驚きに気力を復して、打震えて力無き膝立直して起き返り、「怪しき死様遊ばしたが、そんなら得三、おのれがかい。「おう、我だ。驚いたか。「ええ憎らしいその咽喉へ喰附いてやりたいねえ。「へ、へ、唇へ喰附いて、接吻ならば希望だが、咽喉へは真平御免蒙る。どれ手を下ろして料理うか。と立懸られて、「あれえ、人殺し。と一生懸命、裳を乱して遁げ出づれば、縛の縄の端を踏止められて後居に倒れ、「誰ぞ助けて、助けて。と泣声嗄らして叫び立つれば、得三は打笑い、「よくある奴だ。殺して欲いの死にたいのと、口癖にいうていて、いざとなるとその通り。ても未練な婦人だな。