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いきにんぎょう

活人形

泉 鏡花

「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页

青空文庫

「いえ、死にとうない、死にとうない。親を殺した敵と知っては、私ゃ殺されるのは口惜い。と伏しつ転びつ身をあせりぬ。

得三は床柱を見て屈竟と打頷き、やにわに下枝を抱き寄せ、「くな。じっとしておれ。とかの人形と押並べて、床柱へぐるぐる巻きに下枝の手足を縛り附け、一足退って突立ちたり。下枝は無念さ遣る方なく、身体を悶えて泣き悲しむを寛々と打見遣り、「今となっては汝の方から随います、財産も渡しますと吐かしても許しはせぬ。と言い放てば、下枝は顔に溢れかかる黒髪を颯と振分け、眼血走り、「得三様、どうしても殺すのか。という声いとど、裏枯れたり。「うむ、虐殺にするのだ。「あれえ。「何だ、まだびくびくするか、往生際の見苦しい奴だ。「そんならどうでも助からぬか、末期の際に次三郎様にお目に懸って、おのれの悪事をお知らせ申し敵が討って貰いたい。と泣き入る涙も尽き果てて血をも絞らむばかりなり。「次三もな我が命つけて、八蔵が今朝毒殺したわい。「ええあの方まで殺したのか。御方の失せさせたまいし上は、最早この世に望みは無し、と下枝は落胆気落ちして、「もう聞とうない、言とうない。さあお殺し。