轻松读懂日语经典作品
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页
ホテルでは万事心得て迎えてくれた。そして二階の奥まった洋室へ案内してくれた。そこには窓に二重のカーテンが掛って居り、下には幅の広いダブルベッドが置いてあった。
少女はまず帽子を脱いだ。その下から、引き眉毛の、思いの外大人っぽい顔が現われた。十六、七歳かと思ったら、どうやら二十歳を二つ三つ越しているらしく、疲れている色はあったが、頸のあたりなどは脂ぎって円々していた。――女は続いて、立派な毛皮の外套の釦を外そうとした。僕はそれを見ると、慌てて停めた。
「アラ、あたし困るわ。心変りなすっては……」
「いえ、心変りなんかしませんよ。お役に立つつもりでいます」
「まあ、……あたし実は今夜が始めてなのですのよ。あまりお窘めならないでネ。……」
そういって女は、またもや外套の釦に手をかけた。
「まあ、待った……」
女の当惑そうな顔を見ながら、僕はポケットから蟇口を取出した。そしてそこに小さく折りたたんであった五円紙幣を摘み出すと、彼女の小さい掌の中に握らせた。
「取っておいて下さい。取引はそれで済みました。……」
「これでは、取引ではありません。」
「いいえ、取引になっています。