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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
理論をおしつめて行くと、たった一つの結論に達する。その外には絶対に解釈のしようがない。だが、それは想像するさえも身の毛のよだつ程恐ろしいことだ。
明智はとるべき手段に迷った。どこから手をつけていいのか分らなかった。そこで、彼は窮余の一策として、得意の変装術で、洋装の老人に扮し、街頭をさまよい始めたのである。或時は盛り場から盛り場へとさすらい、或時は宮崎邸のまわりをうろつき、又或時は例の池袋の怪屋の附近を歩き廻った。目ざすは品川四郎とそっくりの幽霊男である。この男さえ発見すれば、そして、ひそかに尾行することが出来たならば、怪賊の本拠をつきとめ、そこに隠されている大秘密をあばくことも不可能ではないのだ。
宮崎邸に殺人事件があってから、一週間ばかり、彼はそうして、辛抱づよく歩き廻った。そして、ある日のこと、遂に目ざす幽霊男にめぐり合う幸運を掴むことが出来たのである。
とあるレストランで夕食を認めていた時、背後に異様な気配を感じて、ヒョイと振向くと、そこに品川四郎の顔があった。すんでのことで、うっかり挨拶しそうになったのを、彼はやっと噛み殺して、そ知らぬ振りで席を立った。