轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

伯爵はやっぱり美禰子さんを見つめたまま、唇の隅に薄気味悪い微笑を浮べながら、紅茶茶碗に口をつけた。

厚い唇の前で、紅茶茶碗が段々斜めになり行く。喉仏がゴクリゴクリと上下に動く。またたく内に、伯爵はそれをすっかり飲みほしてしまった。

美禰子さんは、キョロキョロと部屋の中を見廻しながら、何故か落ちつかぬ様子で、伯爵の前の椅子に腰かけていた。顔は真青になり、押えても押えても、小刻みに震えて来るのをどうすることも出来ない体である。

丁度そこへ、野村秘書官が這入って来た。彼は伯爵が既に紅茶を飲みほしたことを知ると、素早く令嬢と妙な目くばせをして、すぐ何気ない体を装いながら、伯爵の前へ進んで行った。

「唯今内務大臣から御使です。至急御披見が願い度いということでした」

差出す一通の書状。伯爵はそれを開封して読み始めたが、二三行を進まぬ内に、彼の額に妙な曇りが現われ、手紙を持つ手が力なく垂れて行った。

「どうかなさいましたか、閣下、御気分が悪いのですか」

「お父さま。お父さま」

秘書官と令嬢とが同時に駈け寄って、伯爵の巨躯を支える様にしたが、伯爵は已に昏々と不自然な眠りに陥っていた。