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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

警官達に捕縄の用意をさせて下さい、そして犯人を捕縛することを命じて下さい」

伯爵が威丈高に云った。

「誰をですか」

「斧村錠一と青木愛之助の両名をです」

横合から野村秘書官が呶鳴った。

それを聞くと、赤松総監と明智小五郎とがスックと座を立って、真青な顔で一座を見廻しながら思わず身構えをして叫んだ。

「それは一体誰のことです。そんな奴がここにいるのですか」

野村秘書官も二人に対抗する様に立上った。そして、片隅に並んでいた警官達を手招きしながら呶鳴った。

「諸君、警視総監と明智小五郎を逮捕するのだ。こいつらは総監でも明智探偵でも何でもない。斧村、青木という白蝙蝠の団員だ。サア何を躊躇しているのだ。早く取り押えるのだ」

だが、警官達は、流石にためらった。これが果して偽物であろうか。数ヶ月来彼等の大長官として事えて来たこの人物が、白蝙蝠団員などと、どうして信じることが出来よう。

「アハハハハ、君は気でも違ったのか。大河原さん。この熱病やみを放逐して下さい。こんなことを喋らせて、あなたは平気なのですか」総監がわめく。

「私も野村君と同意見です。警官諸君、大河原の命令じゃ。