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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

彼は早速一軒の古洋館を買い入れ、その地下室を拡張して、悪魔の製造工場を作った。奇怪なる牢獄病院を設けた。

大川博士は地下室の牢獄にとじこめられた。だが、その牢獄には人間改造施術のあらゆる器具薬品が用意され、実験台となる生きた人間まで供給された。狂博士は、嬉々として施術に従った。彼は彼の施術が如何なる用途に供されるかは少しも知らずただ技術の為の技術に没頭して、牢獄病院の院長の地位に甘んじていた。

博士に資金を供給し、博士の発明を利用した男とは、云うまでもなく贋品川四郎、即ち白蝙蝠団の首領であった。彼は我と我身を、最初の実験台として、科学雑誌社長品川四郎に変身する施術を受け、それが出来上ると、この物語の前段に詳記した通り、或時は映画に、新聞の写真版に顔をさらし、或はスリを働き、或は他人の妻を盗むなど、種々様々の奇怪な実験を行い、大川博士の施術が完全に世人を欺き得るや否やをためした上、愈々大丈夫と見極めがつくと、ここにその目的の記載を憚るが如き、彼の最後の大陰謀にとりかかったのである。

悪事の加担者を得ることは、何の造作もなかった。少しの危険もなく、一夜にして天下の大富豪となり、一国の宰相となることを否む者はなかった。