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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
露出狂というやつかね。大芝居だったよ。それとも知らず、君が僕を誘い出して、二人で覗いた時のは、僕の替え玉だ。相手の女が同じなので、雰囲気を作るのはわけは無かった。顔は違うけれどからだの恰好が僕とそっくりの男を傭ったのさ。思出して見たまえ。あの男は上手にふるまって、決して君に顔を見せなかった。君はからだの一部分や後姿ばかり見て、服装も同じだし、相手の女も同じものだから、うまく錯覚を起してくれたのさ。そこへ持って来て、僕が覗いた時には僕とそっくりの奴と面と向いあったように装い、震え上って見せたものだから、いよいよ君はだまされてしまったというわけだよ。
それから新聞写真に品川四郎が二人顔を並べていた一件だね。これもわけはない。新聞社の写真部員を買収して、群集の中へ僕の顔をうまく貼りつけて、写真銅版の原版を作らせたのさ。群集の中に何者がいようと、ニュース・ヴァリウは変らないからね。新聞社にとっちゃ何の痛痒もない。だから写真部員も僕の買収に応じてくれたのだよ。
池袋の怪屋、これがクライマックスだったね。あれはただの空家にすぎない。それを僕がちょっとの間借りておいて、いろいろ細工をしたのだよ。