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ふくおうじでん

福翁自伝

福沢 諭吉

02 福翁自伝

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 页

青空文庫

十万円の大金を出したそうだなんて、馬鹿な茶番狂言の筋書見たような事を触廻わして、ソレから大隈の辞職と共に政府の大方針が定まり、国会開設は明治二十三年と予約して色々の改革を施す中にも、従前の教育法を改めて所謂儒教主義を複活せしめ、文部省も一時妙な風になって来て、その風が全国の隅々までも靡かして、十何年後の今日に至るまで政府の人もその始末に当惑して居るでしょう。凡そ当時の政変は政府人の発狂とでも云うような有様で、私はその後岩倉から度々呼びに来て、ソッと裏の茶室のような処で面会、主人公は何かエライ心配な様子で、この度の一件は政府中、実に容易ならぬ動揺である、西南戦争の時にも随分苦労したが、今度の始末はソレよりも六かしいなんかんと話すのを聞けば、余程騒いだものと察しられる。実に馬鹿気たことで、政府は明治二十三年、国会開設と国民に約束して、十年後には饗応すると云て案内状を出したようなものだ、所がその十年の間に客人の気に入らぬ事ばかり仕向けて、人を捕えて牢に入れたり東京の外に逐出したり、マダ夫れでも足らずに、役人達はむかしの大名公卿の真似をして華族になって、是れ見よがしに殻威張を遣て居るから、天下の人はます/\腹を立てゝ暴れ廻わる。