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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页

青空文庫

」

宮田がいった。

「まあ、あなた、倭文子さんをねらっていらっしゃるの。だって、あなた、ねらう必要なんかないじゃありませんか。もうちゃんとね、ねぇ、ねぇ……」

「ねぇ、ねぇというのは、どういう意味ですか。」

「あらご自分でわかっていらっしゃるくせに。」

「あんまり、わかってもいないが、わかっていることにしましょうか。」

「どうぞ、ぜひ。」

「じゃ、狐の持って行きどころがなくなりましたねぇ。」

「そう。だって、狐だってこの頃は、ほほほほほ狐だっていろいろあるわ。」

「なるほどね、昔はよく色若衆といって美少年に化けたものだが、この頃は背広を着たオールバックのハイカラな青年紳士にでも化けますかね。というと、村川君にわるいな。とにかく、我々男性は皆女性に対してある程度まで、狐かもしれませんな。」

宮田がいった。

「そう思っていれば、間違いはないわ、でも本当の狐だけは今に、しっぽを出すことよ。」

村川の顔は、土のように蒼ざめていた。椅子の肱掛を両手でしっかりとつかみ、ふるえようとするからだを支えていた。

八

村川は、憤怒のために、からだが燃えた。彼の教養が、乱暴な言葉や行為を制していた。