轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
03 下巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页
たので、失礼いたしますと云って、お春はそれに乗ってしまった。(お春の癖で、こう云う話をする時は一々その人の口調を真似て、当時の会話を克明に再演して見せるのである)そんな訳で、奥畑に遇ったのは以上三度だけ、時刻はいつも夕刻の五時前後で、三度とも奥畑一人であったが、別に一度、妙子にその停留場で遇ったことがあった。それも矢張同じ時刻頃のことで、お春が停留場に立っていると、うしろから妙子が来て、お春どん、と云いながら肩を叩いたので、おや、何方へいらっしゃいましたと、うっかり出てしまって、慌てて口を噤んだが、不意にうしろから現れたところを見ると、どうもあのマンボウを潜って来たものらしく思えた。すると妙子は、お春どん、いつ戻って来るのん、………お父さんどんな工合やのん、………などと尋ねたあとで、あんた、啓ちゃんに遇うたんやてなあ、と云いながらニヤニヤした。そして、お春が不意を喰ってヘドモドしていると、早う戻って来なさいや、と云い捨てて向う側へ渡って、神戸行きのバスに乗って行ったが、あれから真っ直ぐ帰らはりましたやら、それとも何処ぞ、神戸へでも行かはりましたやら、………と云うのであった。