轻松读懂日语经典作品
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がん
雁
壱、弐、参「スバル 第三年九号」1911(明治44)年9月、肆、伍「スバル 第三年十号」1911(明治44)年10月、陸、漆「スバル 第三年十一号」1911(明治44)年11月、捌、玖「スバル 第三年十二号」1911(明治44)年12月、拾、拾壱「スバル 第四年二号」1912(明治45)年2月、拾弐「スバル 第四年三号」1912(明治45)年3月、拾参、拾肆「スバル 第四年四号」1912(明治45)年4月、拾伍、拾陸「スバル 第四年六号」1912(明治45)年6月、拾漆、拾捌「スバル 第四年七号」1912(明治45)年7月、拾玖「スバル 第四年九号」1912(大正1)年9月、弐拾「スバル 第五年三号」1913(大正2)年3月、弐拾壱「スバル 第五年五号」1913(大正2)年5月、弐拾弐、弐拾参、弐拾肆「雁」籾山書店1915(大正4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,950 字 · 147 页
若し両隣に口のうるさい人でもいると、爺いさんがどんなに心安立をせずにいても、無理にも厭な噂を聞せられるのだが、為合せな事には一方の隣が博物館の属官で、法帖なんぞをいじって手習ばかりしている男、一方の隣がもう珍らしいものになっている板木師で、篆刻なんぞには手を出さぬ男だから、どちらも爺いさんの心の平和を破るような虞はない。まだ並んでいる家の中で、店を開けて商売をしているのは蕎麦屋の蓮玉庵と煎餅屋と、その先きのもう広小路の角に近い処の十三屋と云う櫛屋との外には無かった時代である。
爺いさんは格子戸を開けて這入る人のけはい、軽げな駒下駄の音だけで、まだ優しい声のおとないを聞かぬうちに、もうお玉が来たのだと云うことを知って、読みさしの後風土記を下に置いて待っている。掛けていた目金を脱して、可哀い娘の顔を見る日は、爺いさんのためには祭日である。娘が来れば、きっと目金を脱す。目金で見た方が好く見える筈だが、どうしても目金越しでは隔てがあるようで気が済まぬのである。娘に話したい事はいつも溜まっていて、その一部分を忘れて残したのに、いつも娘の帰った跡で気が附く。